第5回国際協力塾合宿のご報告
2013/12/27
ジーエルエム・インスティチュート(GLMi)は、2013年8月19日~31日にかけて、国際協力塾合宿を実施しました。12名の学生が塾生(合宿参加者)となり、合原裕人専門家、河辺亮輔事務局主任、相馬真紀子プロジェクト・マネージャー、林友花里前フィールド・マネージャー、皆元理恵新フィールド・マネージャーをはじめ、多くの方々の協力のもと、成功裏に終了しました。フィリピンにどっぷり浸かった2週間を報告致します。
国際協力塾合宿の概要
国際協力塾合宿とは、参加者がGLMiの実施するプロジェクト(SILFOR:有機野菜の販売・マーケティングプロジェクト、ARMLED:農業機械のレンタルプロジェクト)に入り込み、国際協力やソーシャルビジネス・農村開発等に関する知見を深め、現場を見る眼、そして将来のグローバルリーダーとなるための「ちから」を養うことを目的とした、約2週間のプログラムです。2009年より毎夏、フィリピンで実施し、今年で5回目の実施となりました。
第5回国際協力塾合宿スケジュール
Day1
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マニラにて顔合わせ・オリエンテーション
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Day2
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ヌエバ・ビスカヤ(ルソン島中部)へ移動桜美林大学の学生と交流翌日のLaunching Ceremonyの準備 |
Day3
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Vizcaya FRESH! Launching Ceremonyへの参加 |
Day4-5
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ARMLEDプロジェクトの説明、農機見学ARMLEDプロジェクトサイト(パイタン)視察農機レンタル(脱穀機)の様子を視察現地政府表敬農民らへインタビュービレッジステイ |
Day6
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現地大学表敬、見学現地学生と交流・合同研修 |
Day7
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イフガオ:ライステラス視察 |
Day8-9
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SILFORプロジェクトサイト(カロロタン)視察モデル農場で有機農業モニタリング小学校で植林農民らへインタビュービレッジステイ町役場・議会表敬NVAT(野菜の卸市場)訪問 |
Day10
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最終発表&お別れパーティ |
Day11
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マニラへ移動・グリーンスター※1訪問 |
Day12
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JICA、日本大使館、ユニカセ※2訪問 |
※1 オクラを日本に向けて輸出している企業
※2 元ストリートチルドレンに雇用機会を与えることで、彼らのライフスキルを高めることを目的としているソーシャルビジネスレストラン
見るだけで終わらない!合宿の魅力
「引率に連れられて、現場をただ見るだけ」で終わるのではなく、「自分の関心のあるテーマに基づいて、グループにて英語で現地調査を行い、最後はその成果を発表する」等、塾生自身が積極的に行動できる機会が大いに用意されていることが、他のスタディツアーとは異なる合宿の大きな魅力の1つです。今年は、新たにARMLEDプロジェクトも視察先として加える等、プログラムを充実させ、塾生たちに更なる学びの機会を提供しました。
1回目よりも2回目!2回目よりも3回目!
英語での現地調査は、基本的には農民やプロジェクト関係者へのインタビューを通して行われます。今年は4つのグループ(マーケティング班、持続性①・②班、コミュニティ班)に分かれ、計3回(3日目のLaunching Ceremonyの後、4日目のパイタン村、そして8日目のカロロタン村)インタビューを行いました。
初対面の人々に対して行うインタビューは、おそらく日本語でも、聞きたいことを上手く引き出すことは難しいでしょう。ましてや、塾生は初対面のフィリピンの人々に対して英語でインタビューを行います。これまでインタビューの経験がない塾生にとって、この現地調査は決して簡単なことではなく、初回のインタビュー後は、「聞きたいことが聞けなかった…」という声が目立ちました。
しかし、塾生たちの成長は本当に凄まじい!2回目のパイタン村でインタビューを行った際は、事前に用意していた質問票に沿って、聞きたいことを確実に相手に尋ねていきます。さらに3回目ともなると、例えば話を聞きながら絵・図を描いていき、
塾生:「あなたの良く読む新聞の構成図は、このような形で合っていますか?」
農民:「そうそう、こんな感じです。そして、(描かれた構成図を指さしながら)大体このあたりに、その日の最も大きなニュースが掲載されます」
という様子が見られるなど、自分なりのインタビュー方法を見出す塾生も出てきました。きっと、「どうしたら、相手と上手くコミュニケーションが取れるのか?」ということを、一人一人の塾生が一生懸命考え続けていたのだと思います。
ビスカヤ最終日!集大成の発表
調査結果の発表は、ビスカヤ滞在の最終日に行われます。今年は現地リゾートの大きなホールにて、調査結果を発表しました。発表会場には、これまで訪れた村の住民やプロジェクト関係者が大勢駆けつけてくれ、会場は人々の熱気に包まれます。こんな大舞台での、しかも英語による発表は、ほとんどの塾生にとって初めての経験で、とても緊張したに違いありません。しかしながら、この日のために必死に準備をしてきた塾生たちは、自信に溢れ、堂々と、素晴らしい発表を行なってくれました。
【それぞれの班の発表テーマ】
- 有機農産物ブランド「Vizcaya FRESH!」の認知度向上の方法について(マーケティング班)
- 国際協力をする側、される側との「人間関係」、SILFORプロジェクトの対象者の「モチベーション」について(持続性①班)
- 今後の農業人口を保っていくための農業のイメージチェンジについて(持続性②班)
- 参加型開発とローカルコミュニティの関係について(コミュニティ班)
合宿最終日は、マニラのソーシャルビジネスレストラン、「ユニカセ」にて打ち上げをし、最後に「ちから」ワークショップを行いました。これは、塾生一人一人の背中に画用紙を貼り、その画用紙に、『この合宿を通じて見つけたその人の「ちから」を書いていく』というワークです。ワーク終了後は、塾生全員の背中が「ちから」でいっぱいになりました。個人的な想いですが、自分の「ちから」を認識し、それを伸ばすだけでなく、相手の「ちから」に気付き、それを引き出せるような「リーダー」に、塾生たちにはなってもらいたいと思います。
参加者の感想
- 想像以上にたくさんのものを得て、吸収することができた合宿でした。私にとって初めての海外がフィリピンとなり、人の温かさや言葉の壁を感じながら本当に貴重な時間を過ごすことができました。
- この2週間の内容は期待以上のものだった。素晴らしいメンバーたちに出会って、活動や語り合いを通して、自分の将来を考える上で非常に参考になったし、自分自身についてよく考える絶好の機会となった。メンバーから学ぶこともたくさんあり、参加して良かったと心から思う。
- 実際に現地の人と接する機会も、同じ関心を持つ仲間たちとたくさん話す機会もあり、とても刺激ある合宿でした。学生であるうちにこういった経験をつんで、たくさん頭を使わないといけないなと、改めて感じました。
- 農業プロジェクトの視察から現地のマーケット組織の仕組みまで12日間という短い間で幅広く見聞を深めることができたと思います。期待していたこと以上、そして別の分野でも多くの発見を与えてくれたと思います。有難うございました。