ケニアは、1963年の独立以来、基礎教育を重要なセクターとして常に位置づけてきました。それにもかかわらず、教育格差と質の低下が問題となっています。とくに、貧しい地域になればなるほどそれが顕著であり、コミュニティの負担が大きすぎるため学校運営が困難になっています。
事業地であるケニアの南部にあるカジアド郡ロイトクトクは、そんなケニアの中でも歴史的に教育普及が遅れており、特に不就学児童の割合と貧困率が高い地域です。教員の質も低いと言われています。
住民の多くは遊牧生活を営んできましたが、環境破壊や定住化政策の影響で遊牧から離れ、就職機会を必要としており学校教育への関心が高まっています。しかし、小規模の小学校においては半数以上の教員を親とコミュニティが雇用しているため、教育の質に関する十分な情報を用いて分析し運営することが出来ていません。また、現状としては、彼らの母語であるマサイ語の教材や教員訓練が不足しており、基礎学力が身に付く状況にもありません。さらに、様々な理由で学校に通えていない子どもたちへの対応が不足しており、これも緊喫の課題です。
このような教育格差は経済格差をもたらし、貧困を助長させます。コミュニティと学校において基盤づくりをし、このような問題を解決するために、GLMiはプロジェクトを開始しました。
コニュニティレベルの教育に関する「ガバナンスとリーダーシップ研修」を実施しています。そのための教材をプロジェクトで開発し、地方行政官(Chief)、校長、学校運営委員会のメンバー代表に対して年1回の研修を実施します。コニュニティレベルの啓発普及のための会合を年6回以上開催し、学校教育計画を策定するよう促しています。さらに、コニュニティのための識字教室を実施しています。
母語であるマサイ語による教育から公用語であるスワヒリ語や英語への移行に適した、基礎学力を担保するためのマサイ語での教材や教員訓練が十分ではないため、教員用マニュアルとマサイ語による低学年用教材の開発を行い、各校に配布できるよう活動を進めています。
既存教材の課題を分析、改訂を基礎としたマサイ族による低学年用教材の開発を行い、低学年教員を対象とした訓練を毎年行うことを検討しています。訓練後の教育の質の向上に関する評価を実施し、ベストプラクティスと共通する課題を抽出するよう促しています。