プロジェクトチームは、すぐに灌漑施設を管理するリーダーに連絡をとり、現地政府や裨益者を集めて会合を開くよう促しました。この会合で行った彼らと一緒に解決策を模索すること、そして安易に解決策を提示しないこと、の二点を心がけ、住民自らが問題と原因の究明を行い、その問題に対する行動計画を策定するよう、ファシリテーションを行いました。住民自らが導きだした解決策、行動計画のほうがより現実的で実現可能性が高いからです。この会合を通じて、住民たちは作業スケジュールと実施体制の立て直しを行いました。共に苦難を乗り越え、灌漑施設建設が完了したときには、住民もプロジェクトチームも一緒に喜び、お互いの健闘を讃え合いました。
このような問いにすぐに答えを出すことは難しいかもしれませんが、プロジェクトも終わりにさしかかったころ、自立発展性の芽生えを感じさせるような、とても嬉しいことがありました。協力農民のなかでも率先して有機農業技術に取り組んでいる一人の農民にインタビューをした際、いつもはあまり話さない彼が、「このプロジェクトがなければ、僕はまだあそこの鉱山であてもなく金を掘っているところだった。でも今は、このプロジェクトのおかげで絶対に尽きない金脈を見つけたんだ。それは、ランブータン、マンゴスチン、ドリアン、そして有機野菜。この農場を自分の孫、その次の孫の代までずっと受け継がせるよ。だって、金や銅と違い、野菜や果物は継続的に収穫できてお金を稼ぐことができるからね。」と、照れながらも自身の想いを語ってくれたのです。彼が話すのを見て、これが「自立発展性」の第一歩なのではと思うとともに、「国際協力の現場で働くことの魅力はまさにこれだ」と、再確認することができました。
この1年間、現地プロジェクトチーム、協力農民、現地政府の相互協力、そしてGLMiの関係者、後援者の皆様のご協力のおかげでプロジェクトを無事に終了することができました。本当に有り難うございました。
(フィールド・アシスタント/松本 未来)