フィリピンは、世界でも有数のお米の消費国です。国内で農業の機械化が進んでいないため、米の生産性が低く、米の自給ができていません。また、小規模な稲作農家はリスクが高いとみなされ、生産性を上げようと思ってもそのための費用を工面することができない状況にあります。
フィリピンの農業の機械化レベルは0.57hp/ha(hp=horse power、馬力を表す単位)であり、タイの1.0hp/ha、中国の4.0hp/haと比べても非常に低い水準に止まっています。フィリピン農業省は様々なプログラムを実施して農業機械化を推進していますが、なかなか進んでいません
GLMiが実施した事前調査では、小規模稲作農家が抱える課題が明らかになりました。農民たちはハイリスク・ローリターンな顧客であるというレッテルを張られ、既存の農機レンタルサービスへなかなかアクセスできない、作物保険が適用されない、融資を受けることができない、といった困難に直面します。そのため、生産性や収入を上げることが難しく、さらにハイリスク・ローリターンな顧客と認識される、という悪循環に陥っています。ARMLEDは、こうした負のスパイラルを断ち切るべく、様々なサービスを提供することとしました。
GLMiは2012年から、日本国際協力財団、フィリピンのマイクロファイナンス機関NOVOLEDを共同で、小規模稲作農家のための農機レンタル事業のプロジェクト(ARMLED)をヌエバ・ビスカヤ州で開始しました。ARMLEDは、田植えから収穫まで、稲作の一連の過程を包括的にサポートしています。プロジェクト終了後もサービスを農民に提供するため、ビジネスとして持続しながらフィリピンの食糧自給や貧困削減に貢献できるよう、ソーシャルビジネスの実現を目指しています。
ARMLEDでは、農機だけでなく、種や肥料といった農業資材も貸し出しています。また、人口が流出しつつある現在のフィリピンの農村では、農作業を請け負う季節労働者が重要な存在となっています。こうした季節労働者を雇うための資金も融資しています。
農業は自然条件に左右されやすく、天候不順による不作などのリスクがありますが、作付面積が小さい農民は既存の作物保険の適用外となっていました。ARMLEDでは、作付面積が小さい農家であっても、グループで一定の面積を満たすことができれば加入できる作物保険を開発しました。