2009/12/11
アフリカ人講師トコさんや、スペシャル・ゲストとしてアジア開発銀行ベトナム事務所所長の小西氏からもお話を伺うなど、今年は昨年以上に豊富な外部講師陣にも恵まれました。エスニック料理のランチ、フェア・トレードのお店訪問(ピープル・ツリー表参道店)などのアクティビティをはさみつつ、自分たちの国際協プロジェクトを策定するためのグループ・ワーク(プロジェクト企画会議)を行い、最終日には4つのグループによる成果発表が行われました。こうして無事3 日間のプログラムが終了し、参加した16 名全員が「ジュニア国際協力プランナー」として認定されました。
今回のサマプロを通じて、二つの新たな発見がありました。一つ目は、冒頭でも述べたように、初の試みとして対象を高校生にも広げたことについての当初の懸念が、嬉しい結果をもたらした点に関する発見です。
年齢も性別も異なる16 名が参加することがわかったときは正直なところ、「うまく全員をまとめながら進行させることができるだろうか?」と心配しましたが、参加者たちにとって、年齢や学年、性別の違いは特に問題ではなかったようです。逆に、「元気があっていい」「中学生なのに自分よりしっかりとした意見を持ってておどろいた」「年齢など関係なしにみんなで協力できた」「学校でのような学年同士の壁が全くなかったので、のびのびと話ができて楽しかった」など、とても肯定的にとらえていたことがわかりました。最終日に実施したアンケートでも、16 名中15 名までが学年を超えた交流に関して「良かった」と回答しており、この点に関しては実施者側の想像以上に良い効果があったようです。
これは、ファシリテーター役の大人も含め、最初から全員が年齢や立場を超えてニックネームで呼び合うというYOUPLID の基本姿勢によるところが大きいと思います。プログラムの参加者は、初日から互いの年齢や学年もわからずニックネームで呼び合うことになるため、余計な緊張や遠慮もなく言いたいことを言い合える環境が自然と出来上がったのでしょう。日ごろは学校教育の中で、どうしても先輩、後輩といった関係に縛られてしまいがちですが、たまには全員が対等な立場で意見交換できる場も重要です。今回のサマプロは、中高生を交えて開催したことで、計らずも参加者全員に、そうした貴重なプラスの刺激をもたらしたようです。
二つ目の発見としては、様々なアクティビティの中でも、グループ・ワークによる「プロジェクト企画会議」について、「興味深かった」「楽しかった」と感じた参加者が多かったことが挙げられます。参加者によるアンケートでも、「みんなで協力してプロジェクトを考えるのが楽しかった」「目的分析を今までやったことがなかったから(興味深かった)」「普段、国際協力について調べることはあっても、自分にできることを含めて、プロジェクトを考えることはなかったので、プロジェクトを考えることが楽しかった」といったコメントが多く寄せられました。
感想:助っ人として参加した会員より
第1 日目と3 日目に受付や記録係のお手伝いでボランティア参加しました。私は、国際開発のコンサルタントの仕事をしていますが、この分野の仕事に就こうと考えるようになったのが三十路を過ぎてからと遅かったので、サマプロに参加している中学生や高校生の皆さんの「早熟ぶり」には大変驚きました。TV やインターネットを通じて接することのできる情報の量が格段に増えたとはいえ、途上国の問題に感応し、関心や興味を深めるための行動に移すことは容易ではないだろうと思っていたので、ごく自然に楽しそうに活動に参加する皆さんの様子に、自分の方こそ古臭い固定観念に縛られているなぁとガックリしました。自分が将来進みたいと思う分野で仕事をしている人の話には興味が湧きますよね。でも、そうした機会は少なく、とりわけ国際協力の分野では限られていると思います。
今回のサマプロでは、アジア開発銀行の小西さんやUNDP の村田代表や井川さん、ACE の白木さん、そしてアフリカのコンゴ民主共和国出身のトコさんが話をしてくれました。現場で働くプロの目線による援助プロジェクト作りについての小西さんのお話には、ドキドキする緊張感があました。学生時代から途上国の児童問題に興味があったという白木さんは、「後輩達」に語りかけるようでした。また、トコさんから聞く自国の食べ物や文化の話は、紛争国として話題に上ることの多いコンゴ民主共和国での人々の暮らしの一面を伝えてくれました。2 日目のUNDP 訪問に参加できず残念でしたが、国際協力の最前線にそれぞれ異なる立場で身を置く方々のお話を聞く機会を得て、私も大変勉強になりました。
そして、何より感動したのは、「問題を分析し解決のためのプロジェクトを作る」作業に取り組み、徐々に真剣さを増しながら変化していく参加者の皆さんを見たことでした。「途上国の貧困問題」とか「援助プロジェクトづくり」という、一見普段の自分とは無関係なテーマでも、そこに自分との接点を見出したときから、自分も参加する活動としてプロジェクトを見るようになる。その変化の瞬間について、当の参加者さんはどんなふうに自覚しているのかなあと思ってしまいました。感動的な自覚はないのかもしれませんが、こういう経験・学習体験はとても貴重だと思います。何より、そうした変化を見逃さず、参加者に返していくファシリテーターさんには脱帽しました。私たちが、普段「業務」として関わっている援助プロジェクト作りでも同じことが言えるのだと思います。