第3回国際協力塾セミナーのご報告

2010/08/11

ジーエルエム・インスティチュート(GLMi)は、国際協力塾セミナーの第3回目となる『開発問題を考えるシミュレーションゲーム「マナミヤ」を体験してみよう』を、2010年4月3日(土)に開催しました。今回の国際協力塾セミナーは、シミュレーションゲーム「マナミヤ(アフリカ農村開発ゲーム)」、マインドマップ作成、プロジェクト計画立案プチ体験、プロジェクト発表の4部構成からなる体験型セミナーとなりました。それぞれ、「開発のプロ」と「教育のプロ」による授業とあって塾生もたくさんのことを学べたようです。

1時間目:シミュレーションゲーム「マナミヤ」

1時間目の「マナミヤ」では、2チームに分かれた参加者が実際にニジェールの住民となって、生活を豊かにしてくれるはずの開発援助プロジェクトを行うことにより、住民の中に不満が生まれていく様子を体験しました。ファシリテーター2人がそれぞれ長老、政府役人を熱演!みんなその熱演に答えるようにゲームに引きずり込まれていきます。終わる頃には、貧しくなっていくチームからは悲痛な叫び声が・・・現地住民の生活がとても身直に体験できたようです。
 

2時間目:マインドマップづくり「笑顔にならなかった理由は?」

2時間目では、マインドマップを使ってどうして「すべての人が笑顔になれなかった」のかを探っていきます。今回は、非常に大きな紙に、塾生みんなで原因を思いつく限り書き出していきます。戸惑いながらも、みんなで不満の原因を探っていきます。徐々にマインドマップに慣れ始めると、「アクター間のコミュニケーション不足」、「役人の説明責任不足」、「住民の知識不足」などなど、わずかな時間のシミュレーションで非常に開発援助の奥深い問題へと意識をみんな向けることができました。
 

3時間目:プロジェクト立案

3時間目は、2時間目で探った問題から1つ中心問題を「住民の意見が反映されない意思決定」に設定し、それを解決するプロジェクトを実際に計画立案するという重大な作業です。まずは現場でどのようにプロジェクトが立案されるのかをProject Design Matrixなどを使ってファシリテーターから説明してもらいました。プロからの講義に塾生たちも今度は一転、真剣なまなざしで講義に集中します。しかし、いざやってみると、原因の分析、結果の想定はとてもむずかしく頭を抱える塾生たち。さらに10分という限られた時間で対応策を考えなければならず、大パニック!一時はどうなることかと思いましたが、なんとかプロジェクトが完成。
 

4時間目:グループ発表

最後は計画のプレゼンテーション。それぞれ立案した「みんなの声プロジェクト」と「村人の声プロジェクト」を発表。プチ体験だったので短い時間でまとめなければなりませんでしたが、非常にしっかりとした計画が出来上がりました。

参加者の声

今回参加していただいた塾生の中から、大学院生の伊藤圭さんに体験記を書いていただいたので、ここでご紹介いたします。
 

参加のきっかけ

「参加」型授業ということで、実際に現場でどのようなことが起こっているのか身をもって知ることができると思ったためです。大学や文献などで、実際にどのような問題が起こっているのか、解決方法は何なのか、ということは机上で学習してきたのですが、頭でわかっているだけではどうしようもなく、百聞は一見に如かずと言うように、身をもって知るのが一番であります。勿論、身をもって知るための一番手っ取り早い方法は、実際に現場に行くことですが、それは容易ではありません。そのような意味で、このように「参加」型授業を行っていただけることは非常に貴重であり、尚且つより実体験に基づいた学習ができる有益な機会であると思ったので、この度参加させていただきました。

 

セミナーの感想

お二人のファシリテーターによって快活に進められたマナミヤという参加型の授業は、「頭ではわかっていても状況についていけない」という状況や、「格差」が実際に生まれる過程を身をもって知ることができ、予想通り大変に有益なモノでした。また、個人的には、今ある問題を論理的に分析し、「今起こっていることはどのような問題であり、何が原因であり、それはどのようにしたら解決することができるのか」ということを議論するための方法である、PCM手法を学べたことが強く印象に残っています。この方法は、何も国際協力だけでなく、学校でレポートを仕上げる際、会社で会議に臨む際、その他身の回りの大きな問題から小さな問題まで、ありとあらゆる分野で使用することができる論理的な問題分析・解決のプロセスですので、今後の生活において存分に活用できる合理的手続きです。セミナー内では実際に問題を分析する際にこの手法を用いたので、政府や援助機関が問題を解決する際の疑似体験の一環として紹介されたのですが、私自身の中では、国際協力だけにとらわれない適用範囲の広い手法として、今も心の中に強く残っています。

 

今後にどう活かしていきたいか

セミナーで学んだことも勿論ですが、何よりもこのセミナーでの様々な人との出会いを、今後の国際協力学習及び活動に活かしていきたいと思います。
 
今回のセミナーに参加した人々はみな国際協力に興味のある人々であり、参加者も大学生や社会人、NGOで実際に活動されている方やこれから青年海外協力隊に参加される方など、本当に様々でした。皆さんと、「なぜ国際協力に興味を持ったのか?」という根本的な質問はもちろんのこと、その人がどのようなことをしており、どのような経歴を持ち、国際協力に対してどのような考えを持っているのかなど、たくさんお話させていただくうちに、新しい視点が見えてきて、自分の考えだけが国際協力に対する唯一のアプローチではなく、国際協力には本当に様々な取り組み方と捉え方があるということを、驚きと新鮮みを持って理解することができたことを、昨日のように覚えています。
 
また、実際に現場の第一線で御活躍されている古谷さんことのりぴ~さんや、主に中・高生を対象に教師という教育のプロとして授業をされている鈴木さんことおとーさんが務めていらっしゃるファシリテーターの方々と話できたことは、本当に有益な機会であり、実際にお二人からも、それぞれのプロフェッショナルとしての貴重なお話や、ご意見をたくさん聞かせていただき、自身の見識を大きく広げることもできました。
 
このように、セミナーを通して色々な人と出会え、知り合えたことは、私にとって大変に貴重な経験です。セミナーで学んだことは勿論のこと、あの日の出会いを活かし、知り合えた人々と積極的に情報交換を続けながら、今後も国際協力に取り組み続けたいと考えています。またこの場を借りて、このように貴重な機会を設けていただきましたこと、誠にお礼申し上げます。本当にありがとうございました。セミナー、大成功でした!


 

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