第4回国際協力塾セミナーのご報告
2010/12/11
ジーエルエム・インスティチュート(GLMi)は、2010年10月30日に第四回「国際協力塾」を開催しました。今回は、稲場公彦氏(日本貿易振興機構:JETRO)と井関ふみこ氏(グローバルリンクマネージメント株式会社)を講師にお招きし、BOP(Base of Pyramid)ビジネスをテーマとしました。
※BOPとは、世界の所得別人口構成の中で、最も収入が低い所得層を指す言葉で、約40億人がここに該当すると言われます。そして、今回のテーマであるBOPビジネスとは、市場規模が約5兆ドルにも上ると言われる、この層をターゲットとしたビジネスのことを指します。
1時間目:講義「BOPビジネスと日本の参入について」
1時間目は、JETRO海外調査部主任調査研究員の稲場氏に、「BOPビジネスの概要」と「今後、BOPビジネスへの日本の参入可能性」に関する講義していただきました。本時限でBOPビジネスの基本を理解し、「日本はどのような分野でBOPビジネスに参入できるのか」といった発展的な内容を議論しました。
2時間目:講義「BOP潜在ニーズ調査:エチオピアの栄養分野」
2時間目は、グローバルリンクマネージメント株式会社の井関氏に、同氏がエチオピアで実施したBOP調査の結果をご報告いただきました。ここでは、特に栄養に焦点をあて、エチオピアにおけるBOPビジネスの実施例や参入余地のある承認をご紹介いただきました。
3時間目:グループワーク
3時間目は、「BOPビジネス商品」を企画するグループワークを行いました。具体的には、BOPビジネスにおいて展開可能な商品とその実施体制、そして予想される効果などを各グループ内で話し合いました。各グループには稲葉氏や井関氏に加え、経験豊富なGLMi会員がファシリテーターとして参加し、グループワークの進行を支援しました。
4時間目:グループ発表
4時間目は、グループワークの成果発表を行いました。同時間において、各グループは、グループワークにおいて考案した商品や、実施国、ターゲット層、そして展開方法などについて発表しました。
参加者の声
塾生たちは、一体どんな思いで国際協力塾に参加してくれたのか。以下に、参加していただいた塾生の感想を、幾つか紹介致します。
- 以前から、BOP市場や途上国市場に興味がありました。現在のBOP市場に向けた企業の動き、現地での動きが知りたく、今回のセミナーに参加させてもらいました。JETROの稲場様のお話や、エチオピアでBOP向けの市場調査を行われたGLMの井関様のお話には考えさせられるものがあり、参加目的にあった講演を聞くことができました。グループワークでは、学生と社会人が混ざったグループにもかかわらず、ファシリテーターとして参加下さった稲場様や他のファシリテーターの皆様のサポートのおかげで、短時間ながらも有意義な議論ができたと思います。残念ながら、現在、BOP向けの市場に対して積極的に活動している日本企業は少ないと感じます。今後、日本企業がBOP市場に対して活動を広げることが出来るよう、微力ながらも貢献していきたいと考えています。(K.Dさん/社会人)
- 今回国際協力塾に参加したきっかけは、執筆中の卒論のテーマである「BOPビジネス」を取り上げた内容であり、また他のセミナーとは異なり、体験型のプログラムが組み込まれていたからである。実際にはグループワークだけでなく、第一線でBOPビジネスを取り組んでいる方々の講演も大変興味深かった。BOPの定義からケーススタディー、そして今後の展望まで幅拾い内容であり、私のような学生から社会人まで得ることの多い講演であったと思う。この講義を聴くことで、その後のグループワークでは、バックグラウンドの異なる参加者同士が「BOPビジネスを行う際のステークホルダーとの関係性を考える」というようなレベルの高い討論をすることが出来、プログラムにも大変満足だった。(T.Mさん/大学生)
- 今回の第四回国際協力塾の講義は、大変興味深いものでした。日本のBOPビジネスはまだ始まったばかりなので、様々な立場の人たちとBOPビジネスについて考え、議論し合ったのは初めてであり、大きな財産になりました。現在、私は大学の卒業論文でBOPビジネスを題材に書き進めており、疑問を解消し、深い理解を得るために参加しました。今回、参加しなければ得ることのできなかった貴重な情報を得ることができ、とても満足しています。今後、この卒論により、多くの学生にBOPビジネスの存在を知ってもらい、まだBOPビジネスが国際協力の手段の一つとして、より良い世界を創り出す可能性となることを信じ、私自身もその力になれるよう努力したいと思います。(Y.Rさん/大学生)