第2回国際協力塾合宿のご報告

2010/12/25

ジーエルエム・インスティチュート(以下GLMi) は、2010年8 月18 日から30 日にかけて国際協力塾合宿を開催しました。第2回目となる今回は、前回の倍以上となる13名の学生が国際協力塾の参加者(塾生)となってくれました。

国際協力塾合宿の概要

GLMi はフィリピンのルソン島中北部に位置するヌエバ・ビスカヤ州において住民参加型森林管理プロジェクトの3 年次を実施しています。この合宿の目的は、GLMi がフィリピンで行っているプロジェクトの現場に入り込み、農村開発や森林管理などプロジェクトにかかわる知見を深めるとともに、現場を見る目を養う機会を提供することです。前回の国際協力塾合宿と同様、「プロジェクトの現場に行ってみたい」、あるいは「将来国際協力の道に進みたい」と希望する学生・社会人を対象に、ヌエバ・ビスカヤで合宿を実施しました。

第2回国際協力塾合宿スケジュール

Day1

マニラにて待ち合わせ&歓迎夕食会

Day2

JICA、ユニカセ※、大使館訪問&テーマ決めワークショップ

Day3

ヌエバ・ビスカヤへ移動&オリエンテーション

Day4

現地学生等との合同研修&交流

Day5

ビスカヤ観光&合同研修続き

Day6

プロジェクトサイト視察①【カヤパ町】ホームステイ

Day7

プロジェクトサイト視察②【サンタ・フェ町】植林体験&中間発表

Day8

プロジェクトサイト視察③【ドゥパックス町】ホームステイ

Day9

プロジェクトサイト視察④【ドゥパックス町】小学校等訪問

Day10

イフガオのライステラス視察&エコツアー

Day11

ビスカヤへ移動&最終発表会&お別れパーティー

Day12

マニラへ移動、解散

※2010年8月にオープンした社会起業家のレストラン。学校を中退せざるを得なかった若者たちや元ストリートチルドレンたちの雇用機会を与えることを目的に元NGO職員の中村八千代さんが経営。

マニラでの顔合わせ

塾生全員での顔合わせはマニラで行われました。今回の塾生は、年齢は違えど皆学生であり、最初は緊張した面持ちで口数も少ないようでしたが、初日の歓迎夕食会では歌声を披露する塾生がいた程、とても早く打ち解けました。マニラでは、なかなか行くことのできないJICAの現地事務所や在フィリピン日本大使館を訪問し、フィリピンにおける日本のODA業務についてお話を伺いました。またオリエンテーションでは、現地調査で取り組むテーマを決め、グループ分けをしました。その結果、2チームが持続性(サステナビリティ)を、残り2チームがそれぞれコミュニティと開発教育について調査することとなりました。
 

歓迎夕食会の様子

現地の学生との交流

ヌエバ・ビスカヤ州に移動後、地元の学生グループPhilippine Rural Reconstruction Youth Association(以下PRRYA)のメンバーやボトラン町の若手農家育成事業のメンバーと共に合同研修を受けました。プロジェクトサイト訪問に備えてコミュニティ組織の基礎や参加型農村調査の手法を学んだほか、フィリピン人学生と交流もすることが出来ました。
 

PRRYAの学生と交流する合宿生たち

プロジェクトサイト訪問①~インタビュー調査~

プロジェクトサイト訪問前には、報告書を読んだり現地スタッフに質問したりしながら、各グループでテーマに沿った調査主題を立てていきました。夕食後や移動時間までも議論をしている姿から、塾生の真面目さと意気込みが伺えました。行政職員やプロジェクトの裨益者である農民などプロジェクトに関わる様々な立場の方にインタビューをする際には、英語で思ったことがきけないというもどかしさもあったようですが、回を追うごとに調査テーマに関する聞き込みが上手にできていました。本当に塾生の成長の早さには驚きです!

プロジェクトサイト訪問②~異文化体験~

プロジェクトサイト訪問では視察やインタビュー、聞き取り調査を行っただけでなく、現地の生活を体験するために農家にホームステイもしました。滞在中は豚を丸々一匹ご馳走してもらったり、停電になりろうそくで夜を過ごしたり、小学校を訪問し子ども達と遊んだり、植林体験をしたりと、日本では味わえないようなたくさんの体験を得ることができました。
 
特に塾生にとって忘れられない体験だったのは、「水を浴びるだけの風呂と便座のないトイレ」です。快適な日本とは違う、フィリピンの環境に皆かなりの衝撃を受けていました。こちらとしては、そのギャップに耐えられなくなる人がいるのではと不安に思っていましたが、帰るころには「意外と慣れるものだね」と言いながら使いこなしていました。
 

参加者K.Mさんの感想

事務所に着いて、わたしにとって(おそらく他のみんなにとっても)一番のカルチャーショック。それはトイレとお風呂!少し暗いトイレは、…なんとなく行くのをためらってしまった。そして、お風呂はシャワーもないので、トイレの個室で蛇口から水を浴びる。初めはすごくためらったが、実際に浴びてみると、なんとか大丈夫。抵抗はあったものの、意外と適応できるものだと感じた。

 

参加者I.Kさんの感想

現地の方が、いかにインフラが大事かを教えてくれたし、私たちも実際に十分感じました。橋1つですら、あるとないとは大違いでした。

イフガオの棚田を訪問

10日目にはヌエバ・ビスカヤ州を早朝に出発し、イフガオの棚田へのエコツアーに参加しました。息を切らしながら急な階段を上り下りし、狭い道を進んでいくと綺麗な黄色の棚田が広がっていました。イフガオの自然ではしゃぐ人もいれば、そこから今回のプロジェクトに照らし合わせて考えている人もいたようです。
 

参加者S.Yさんの感想

イフガオの棚田はきれいだけれど、最近は放棄され崩壊し森林化する土地が増えている。観光業界ばかりにお金が行って、肝心の棚田農家にはお金が回らない。そんなエコツーリズムの皮肉が、この世界遺産を世界危機遺産にしている。いったい誰の責任なのか。農民か。観光業界か。観光客か。政府か。そう考えると、外部者の責任とか役割ってなんなんだろうと思ってしまう。外部者はどこまでするのが責務で、どこからがおせっかいなんだろう。…原点回帰。とにかくなんでも一緒にやってみる。そうか。国際協力に外部者も内部者もないんだ。なにかをしてあげるとか、してもらうとか、そういう一方通行な関係じゃなくて、協力して問題を解決していかなくてはならない・・・

 

イフガオの棚田を歩く合宿生たち

調査結果の発表

最終日は合宿の集大成ともなる、4 チームのプロジェクト調査の最終発表を行いました。現地スタッフだけではなく、農家の方々や合宿のサポートをして下さったロータリークラブのアンディさんやソロニョスさん夫婦といった多くの方々が発表を聞きに来て下さいました。多くの人を前に皆緊張しないのかなと心配に思っていましたが、一切そんな顔を見せず堂々と調査発表をしている姿は素敵でした。
 

発表会を聴きに来ている地域の皆さん

 

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