新規フィリピンプロジェクト「ルソン島北部零細稲作農民の営農改善を通じた農業収入向上支援事業」(I-FARM)を開始しました!

2016/01/22

ジーエルエム・インスティチュート(GLMi)は、2015年12月5日に在フィリピン日本国大使館において日本NGO連携無償資金協力贈与契約に署名し、新規プロジェクト「ルソン島北部零細稲作農民の営農改善を通じた農業収入向上支援事業」(I-FARM)を同18日に開始しました。皆元理恵プロジェクト・マネージャーがプロジェクトの概要を紹介します。

事業立案の背景

ルソン島北部はフィリピン屈指の穀倉地帯ですが、歴史的に貧富の差が激しい地域でもあります。GLMiでは2012年より「農機レンタル事業(ARMLED)」を実施してきましたが、その中で目の当たりにしたのは、少数の富農が大規模な農場を経営する一方で、零細農民が辺境で悪条件のわずかな土地を耕し、貧しい生活を強いられている様子でした。彼らの多くは、自らの農地の収入だけでは生計を立てられず、他の農地の田植えや収穫の手作業などの日雇い労働に従事し、借金を抱えかろうじて生活を維持しています。そこで、そのように苦境に喘ぐ零細農家が、営農改善を通じて農業収入を増やし生計を向上させるために、0.5ヘクタール前後の零細農家が多いイザベラ州とヌエバ・ビスカヤ州の3村において、このプロジェクトを実施します。

 

1.農業経営及び生産計画作成についての指導・研修

農業純収入を向上させるために不可欠なものが、経営や財務の知識向上です。そのために、農業経営についての指導・研修を行います。まず、基礎的な収支計算の知識を身につけ、簡単な収支計算書を使用し、各自収支を把握できるよう指導します。その後、栽培・出荷・予算計画を農民自らが作成し、年間営農計画に沿って農業経営を行うよう指導します。また、販売促進・販路拡大によって収入増加につなげるためのマーケティング指導も行います。

 

2.稲作・野菜作の営農指導、施肥・病虫害防除、農業機械導入の指導・研修

生産性向上と売上収益の増加につながる営農技術のための研修を実施します。まず、稲作の適切な品種の選定、田植え時期、効率的な施肥や病中・害虫の防除など、稲作の収穫量向上のための指導をします。加えて、コメ以外の野菜等の作物の栽培指導も行います。また、稲作で発生する稲わらや米ぬか等のかすを有効に利用し、有機肥料の製造技術習得のための研修を実施します。そして、周辺地域で農業機械化が進む中で、未だ人力や蓄力に頼ることの多い零細農民が、農業機械の利便性や効率性、コスト等を理解し、より身近なものとして利用できるよう、農業機械についての指導を行います。さらに、収穫後には、籾の乾燥場等施設の使用や水分計の利用を促進するなどして、収穫物のロスを防ぎ、商品価値の向上を図ります。

 

3.生産活動並びに市場へのアクセスを確保・改善するための農道整備支援

現地には未舗装の農道が多く、大雨が降っては崩れたり、雨期には水没したりして、農産物の運搬・輸送や、農作業、農業機械搬出入の妨げになっています。1で計画したような生産活動や流通活動を実践するために、「Farm-to-market-road」として農作業及び流通において基盤となる機能を担う農道の改修・整備を行います。

 
 

事業実施中に、農民リーダーと対象農民、町農業課や農業省などの関係者が、農業経営や営農技術に関するノウハウを蓄積し、事業終了後は、育成された農民リーダーを中心に、対象農民自らが農業経営について考え、営農技術を改善し続けられるよう、関係機関がサポートしていきます。また、これら関係者が裨益者以外の農民にも同様の技術指導や研修を実施できるような体制の構築を目指します。
 

プロジェクトが行われている場所(マニラから車で約8時間)

 

プロジェクトが行われている場所(苗を運ぶ農民の様子)

 

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