2016/03/04
1年次と2年次には山の水源を活かした自然流下式小規模灌漑の建設や、水源に恵まれないエリアでは貯水池の設置を行い、合計で420世帯が裨益しています。この灌漑の建設には住民たちが自ら石の切り出しや砂の運搬を行い、積極的に建設に携わりました。住民は灌漑により飲料水を得ただけでなく、乾期の野菜栽培や栽培品種の多様化を図ることができるようになりました。
プロジェクトでは、地域資源の循環的な活用も推進しました。83世帯が家畜舎の改良を行い、家畜の尿を集めてそこに自生するハーブを浸けて発酵させた有機農薬や液肥をつくり、野菜栽培に用いています。また、185世帯がネピアグラス(Pennisetum purpureum)などの飼料作物を農地の縁に沿って植え付けました。これによって土壌を浸食から守り、また収穫した飼料を家畜に給餌することで、ミルクの生産量と品質の向上を目指しています。
標高600メートルの麓から、2,000メートル近くの頂上付近まで集落が広がっているクセスワ・ドゥムジャ村では、その地形により地区ごとの気候風土が変化に富んでいます。プロジェクトでは1年次に、現地政府機関から技術協力を得て、集落ごとに住民とワークショップを開催しながら、高地・中地・低地の各エリアに適した農作物の選定を行いました。プロジェクトによる栽培研修やフォローアップ活動を通じて、現在村では、トマト、苦瓜、カリフラワー、葉物野菜、人参、椎茸、ライムや温州みかん等、集落ごとに地理的な特性を活かした様々な農産物の栽培が行われています。3年前までトウモロコシ、菜の花や豆類の栽培が中心の慣習的な農業を行う村だったクセスワ・ドゥムジャ村は、現在では市場性のある野菜や果樹栽培を行う村へと変化を遂げました。
今後は、現地のカウンターパートNGOであるSrijansil Welfare Societyが事業活動全体の管理を引き継ぎます。また、農民らによって結成された「管理委員会」や11の農民グループが、「集荷・情報センター」の運営管理を担います。このように、様々な団体が助け合い、また農民たちが自主的に働くことによって、これからの事業運営を継続していきます。GLMiとしても引き続きプロジェクトのフォローアップを行います。